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論文

 肉食系女子と草食系男子という言葉が流行していますが、それを反映して結婚の事情が急速に変化しています。
 2010年の国勢調査の結婚についての統計も出そろってきましたので、日本の結婚事情をご紹介しながら、日本の将来を考えてみたいと思います。

   第一の話題は未婚率の増加です。
 男性の20代後半、すなわち25歳から29歳について未婚率は1970年には47%で半分以下でしたが、以後10年毎に55%、65%、69%と増加し、2010年には72%になってしまいました。40年間で1・5倍に増えたことになります。
 女性の20代後半の未婚率はさらに急激な増加で、70年の18%から、24%、40%、54%、60%になっており、同様に3・3倍の増加です。
 30代前半になって観念するかと思うと、40年間で男性は12%から47%と3・9倍、女性は7%から35%と5倍の増加です。
 そして50歳の時点でも未婚の場合は、統計的に「生涯未婚率」と名付けられていますが、1970年から2010年の40年間に男性で2%から20%に、女性で3%から11%と、いずれも急増です。

 最近は不景気で生活が苦しく、なかなか結婚に踏み切れないのではと推測されますが、これは当っており、2010年の調査で、30代の男性で年収300万円未満では既婚者の比率が9%ですが、100万円増えるごとに27%、29%、35%と増え、600万円以上では38%になっています。
 そして正規雇用者と非正規雇用者を比較すると、29%と6%という大きな差がありますから、収入は結婚に影響するということが伺えます。
 それは都道府県別の未婚率にも現れており、31歳時点での未婚率が2005年について調べられていますが、男性では東京の62%を筆頭に、神奈川、埼玉、千葉、京都、女性では東京の64%から奈良、京都、福岡、大阪の順番で、生活費のかかる大都会は未婚率が高いという結果になっています。

 それでは働く女性も増えているし、肉食系女性も増えているから、女性を頼りにしたらどうかという発想になりますが、まさにその通りになっており、女性のほうが年上の夫婦は1970年の10%から、10年毎に12%、14%、22%と増え、2010年には24%にまで、すなわち10組に1組から4組に1組は妻が年上という状態になっています。
 当然、その反対に、夫が2歳以上年上という、かつては普通の組合せであった夫婦は70年の68%から2010年には42%と大幅に減少し、男女どちらの戦略か分かりませんが、姉さん女房が増加するという予想は的中しています。

 これが日本特有の現象か世界共通の現象かが気になりますが、実は、日本の状況は欧米と比較すると際立った特徴があるのです。
 2010年に内閣府がおこなった「少子化に関する国際意識調査」という統計がありますが、男女を合計した結果について、まず20代の結婚している比率をみると、日本の24%に対し、アメリカも24%、スウェーデンが28%、フランスが13%と日本より低いのです。
 ところが非婚率、結婚していない比率は日本の72%に対し、アメリカが54%、スウェーデンが53%、フランスが45%と、こちらもすべて日本より低いのです。
 結婚率も非婚率も低いのは何故だと不思議なのですが、秘密は同棲率にあります。
 アメリカでは18%、スウェーデンでは29%、フランスに至っては41%が20代で同棲しているのですが、日本は良いか悪いかはご意見が様々でしょうが、同棲率はわずか1・5%でしかありません。
 30代でも傾向はまったく同じで、結婚率も非婚率も日本が最大ですが、同棲率がフランスの32%やスウェーデンの29%と比較すると、日本は1・8%しかありません

 それは婚外子の比率にも現れており、2008年の数字ですが、その年に生まれた日本国籍の子供の婚外子の比率は2・1%ですが、スウェーデンは55%、フランスは53%、アメリカは41%で、まさに桁違いです。
 良く解釈すれば、日本は伝統社会が維持されているということですが、別の見方をすれば古い因習がはびこっているということになります。
 結婚するかしないかは個人の自由ですが、結婚率が低く、同棲率も低く、しかも婚外子は何となく肩身が狭いという文化があると、社会として子供が生まれにくいということになりかねません。
 実際、一人の女性が一生に何人の子供を生むかという合計特殊出生率を調べてみると、2009年から2010年の時点で、アメリカは2・01人、フランスは2・00人、スウェーデンは1・91人ですが、日本は1・39人と圧倒的に小さな数字です。

 ここからは計算のお遊びですが、このまま推移すれば、500年後には日本人は1000万人になり、1000年後には、現在の繁殖活動が成功しつつあるトキに囲まれて最後の日本人が日本列島に生活しているということになります。
 このままでは民族消滅ですし、それ以前に国家も消滅している可能性大です。
 そこで最後に、多くの若い人々が結婚し子供を作ろうという気持になる統計をご紹介したいと思います。
 やや古いのですが、1979年にアメリカのコーエンとリーという2人の学者が発表した『危険の一覧』という資料に、どのような行為をすると寿命が何日縮むかという計算が発表されています。
 自動車を運転すると207日、体重が標準より20%超過すると900日、タバコを吸うと男性で2250日、女性で800日などがありますが、最大は結婚しない男性は3500日、すなわち9年7ヶ月、女性は1600日、すなわち4年5ヶ月も寿命が短くなるということです。
 信じるか信じないかはご自由ですが、ご参考になればと思います。





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