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論文

 先週末は北海道の北広島市で3日間、クロスカントリースキーの練習をしてきました。
 札幌市と北広島市の境界に野幌原始林という北海道が開拓される以前の森林が残っており、冬の間だけ入ることができる林道を滑ってきたのですが、晴れ渡って天候も良く、原生林を眺め、鳥の声を聞きながら、快適でした。
 ところが、大変に気になったことがありました。雪が非常に少なく、気温が高いことです。これは札幌周辺だけではなく、ニセコなどのスキー場が集中している北海道内の各地でもそうですし、本州の日本海側でも同様です。やはり地球温暖化が着実に押し寄せているのかという気分になります。

 きわめてタイミングよく、先週の20日土曜日にはアメリカの元副大統領のアルバート・ゴア主演の地球温暖化問題を訴える記録映画『不都合な真実』が都内の映画館で上映開始となり、ゴア自身も来日して講演をしました。
 この映画は膨大な資料や映像を駆使して、ゴア自身が世界各地で1000回以上講演した内容を紹介する内容で、地球温暖化という問題を分かりやすく説明していますので、ご覧になることをお勧めします。
 また、この問題を世界の学者が集まって検討する国連の組織であるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が準備していた第4次調査報告書の内容が、先週金曜日19日の毎日新聞に紹介されました。
 その記事によると、過去100年間で地球の平均気温は0・56度から0・92度上昇し、今後、現在のような化石燃料に依存した大量消費社会を続ければ気温は6・3度、海面は58センチメートル上昇する。
 しかし、環境に配慮した生活に転換すれば気温は1度、海面は19センチメートルの上昇に押さえられるという内容です。
 そして気温が3度上昇すれば、アジアで700万人が洪水の危機に直面し、世界で1億人が食糧難に陥る。4度上昇すれば13億人が洪水の影響を受け、北米では熱波に襲われる回数が3倍から8倍増加し、北極海の氷は35%減少すると警告しています。
 結論として「地球の平均気温の上昇、氷雪の融解の増加などから温暖化は明白」と断定しています。

 これまで政治や経済の分野から「温暖化は科学的に証明されていない」という意見もあり、アメリカのように2001年に京都議定書体制から離脱した国もありましたが、世界の多数の学者が参加するIPCCの今回の報告書が断定したことにより、このような反対も息の根を止められたかという感じもします。

 ところが、現在でも地球温暖化は間違っており、むしろ地球は寒冷化に向かっているという意見が根強くあります。しかも、それは政治とか経済の思惑をもった意見ではなく、学者が純粋な学説として表明しているのです。
 そこで今日は、地球温暖化は間違いであるという意見を紹介してみたいと思います。

 第一は数千万年という長期的な時間でみると、地球は寒冷化しているという説明です。
 6000万年前には地球の平均気温は20℃程度であり、次第に下がって100万年から200万年前に10℃程度になり、それ以後、4回の氷期があり、今から1万年前に暖かくなって間氷期になっているが、長い目で見れば地球は寒冷化に向かっており、そろそろ寒冷化に転換するというわけです。
 もう少し短い期間でみると、今から6000年前には現在よりも7℃も平均気温が高く、縄文海進といわれ、日本では海面が現在よりも4メートルは高かったと推定されています。
 それ以後も現在までに温暖化や寒冷化を数回繰り返し、±4℃の上下が発生しています。そして現在は温暖化の頂点に近づいており、間もなく寒冷化に向かうという説です。

 そのような長い周期の問題は自分の生きている間に関係がないので関心がないという方のために、さらに短い周期の例をご紹介します。
 1960年以後の資料を調べると、太陽に多数の黒点が発生して活動が活発になる周期が11年ごとに繰り返されていますが、それに比例するかのように、年平均気温は3℃ほど上下しているのです。だから現在の温暖化は太陽活動の影響によるもので、二酸化炭素の影響ではないという説明です。

 第二は温暖化が発生しているという根拠となる資料が不完全であったり、恣意的に歪曲されているという議論です。
 これまでIPCCの報告書に何度も登場した過去1000年間の温度変化を示すグラフがあります。これはアメリカの古気候学者のマイケル・マン博士が発表し、グラフの形がホッケーのスティックに似ているのでホッケースティック曲線と言われていますが、発表直後から賛否両論の議論を巻き起こしました。
 その経緯は、矢沢潔さんの『地球温暖化は本当か?』(技術評論社)に詳しく紹介されています。アメリカの連邦議会議員が元になった資料の公表を要求されましたが、マンは要求を拒否しました。やがて突き止められたのですが、その元資料から一部のデータが消去されていたことも分かりました。
 また、アメリカのベンジャミン・サンター博士が1996年に科学雑誌『ネイチャー』に温暖化が起っているという論文を発表しましたが、寒冷から温暖に向かっているという部分のデータ以外は使用していないということが判明しています。
 そしてマン博士やサンター博士がIPCCの報告書の執筆の中心人物なのです。

 第三は二酸化炭素が温暖化の原因だとされていますが、これは逆だと言う意見があります。
 コーラ現象といわれるのですが、コーラの栓を抜いてしばらくすると炭酸ガスの泡が出なくなりますが、暖めればさらに出てきます。地球も同様で、別の原因で温暖化が進むと、その影響で数年後に大気中の二酸化炭素濃度が上がるというグラフがあるのです。

 第四は何万年前はもちろん、数百年前でも気温が0・1℃の精度で測定することは困難で、そもそも根拠となっているデータ自体に問題があるという意見です。
 そして最後は、地球温暖化は人類にとってマイナスよりもプラスの方が多いという意見です。温暖化すると海面から蒸発する水の量が増え、湿潤な地域が増大し、農業に適した土地が増加するというわけです。
 アメリカの有名な経済学者レスター・サロー博士も「地球温暖化で失うものが最も少ない国はアメリカで、降水量が増え、乾燥地帯に恩恵をもたらす。カナダもロシアも寒冷地はすべて勝者になる」と言っています。
 もちろん、無駄なエネルギーを使用しない、地球環境のことを考えて生活するということは重要なことですが、物事を冷静に見ることも重要です。





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