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論文

 バブルというと、バブリーな生活とかバブル経済など、あまり良い意味で使われないことが多いのですが、科学の分野では注目を浴びている言葉です。
 1980年代のパーソナル・コンピュータには「磁気バブルメモリー」という外部記憶装置が使われたことがありました。これは128キロバイトで、現在からすれば玩具のような容量でしたが、振動に強く、完全に密閉されているのでホコリや泥などにも強いうえ、電力消費もわずかということで、一時は自軍隊のコンピュータなどでも良く使われました。しかし残念ながら、バブルという言葉が良くなかったのか、現在では博物館行きとなってしまいました。

 代わって最近登場してきたのが、マイクロバブル水とかナノバブル水という言葉です。
 マイクロは100万分の1、ナノは10億分の1という接頭語ですから、1メートルの100万分の1、すなわち、1ミリメートルの1000分の1が1マイクロメートル、さらに1000分の1が1ナノメートルです。
 そして水の中に直径0・05mm、すなわち50マイクロメートル以下の泡が入っている水がマイクロバブル水です。女性の細目の髪の毛が0・08mm程度ですから、おおよその大きさが分かると思います。
 さらに小さな直径数10ナノメートルの泡が混ざっている水がナノバブル水といわれます。

 どういう特徴があるかというと、水中で息を吐くと、その泡は上の方に行くほど水圧が低くなるので大きくなり、水面に出た途端に破裂して消えてしまいます。
 ところがマイクロバブルやナノバブルは水中に留まったままで、次第に直径が小さくなり、やがて消滅してしまいます。これは泡を形成している気体が水に溶けてしまうからです。
 それだけのことであれば、多少珍しい水だというだけですが、様々な画期的な性質を持っていることが分かってきたのです。
 昨年、「愛・地球博」で展示されていましたので、ご覧になった方も多いかと思いますが、金魚とタイが一緒に泳いでいる水槽が展示されていました。金魚は淡水魚で、タイは海水魚ですから、どちらかが死んでしまうはずですが、両方とも悠々と泳いでいました。これは訓練した訳ではなく、ナノバブル水の中では、このようなことが可能になるのです。

 実用的な利用も色々とあります。例えば、オゾンをナノバブルにして水中に混ぜた水は細菌を遺伝子レベルで破壊する能力が強く、塩素系の殺菌剤に比べて30倍近い殺菌効果があり、この水で生ガキを洗浄すると猛毒をもつノロウィルスを殺菌することができます。
 また、様々な化学物質を含む汚水を清浄にする能力も強く、BOD濃度が3000ppm程度の水を18時間で500ppmにすることができ、実際、東北地方のカマボコ工場では、カマボコの製造過程で出る汚水の中にマイクロバブル水を入れることによって、汚水処理をしています。
 現在、下水処理は活性汚泥法という微生物によって化学物質を分解する技術が中心ですが、この方法は大量の水を使用しますし、処理した後に大量の汚泥が溜まるので、その処理にさらに手間がかかりますが、マイクロバブル水で処理すると水の使用量は20分の1、汚泥は発生しないので、安価に処理することが可能になります。

 このような特別な能力を持った水を「機能水」といいますが、一部には健康に良いとか、頭が良くなるなど、やや怪しげな宣伝をされている水もあります。
 そこで日本機能水学会が機能水とは「人為的な処理によって、再現性のある有用な機能を付与した水溶液のうち、処理と機能に関して科学的根拠が明らかにされたもの、またはされようとしているもの」と定義しています。
 つまり、製造する方法が明確にされ、その方法を使えばだれでも製造することができ、その機能が第三者機関で検証されていることが必要というわけです。
 上記の基準を満たす機能水のなかで、薬事認可も受けている「電解水」という水があります。そのなかの「強酸性電解水」は殺菌効果が強く、黄色ブドウ球菌、MRSA、大腸菌などを10秒程度、カンジダ菌を30秒程度で殺菌する能力があり、病院での器具の消毒や、農業分野で種や苗の殺菌洗浄などに利用され始めています。

 素晴らしいことは、簡単にバブルが消滅しないマイクロバブル水を安価な装置で製造する方法や、電解水の性能の研究などは日本がもっとも進んでおり、電解水は英語で「エレクトロライズド・ウォーター」とも言いますが。「denkaisui」と日本語が英語として通用するほどです。
 日常生活にも大変に役に立つ機能水に注目していただければと思います。





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