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論文

 先月、千葉県にある幕張メッセで「FOODEX JAPAN 2006」が開かれたのですが、その会場でアンデスの食材が紹介されて人気があったそうです。
 その理由は、ベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビアなど、南米のアンデス山脈の一帯にある国々で収穫される伝統的な食材がアンチエイジング効果、すなわち、老化を防ぐ効果があるということで評判になっているからです。
 そこで今日は、アンチエイジング、抗老化とか抗加齢といわれることについてご紹介させていただこうと思います。

 アンチエイジングは一種のブームになっており、レストランでもアンチエイジングコースとか、アンチエイジングメニューという料理を売り物にするところが増え、一人6000円とか1万円とかという高いコースが用意されていますが、お金持ちの高齢者を狙った上手なビジネスというわけで、大変な人気になっているようです。
 最近、サントリーが発売した「マカディア」というリキュールは、古代インカ帝国時代からアンデス山脈の4000メートルほどある高地で栽培されている「マカ」というカブのような植物と、最近、ハーブティとしても人気のある「ローズヒップ」のエッセンスをアンデスのブドウから製造した蒸留酒ピスコに漬けたものですが、アンチエイジング効果を謳ったところ、女性に人気があるそうです。

 しかし、そのようなビジネスのための宣伝だけではなく、医学の分野でも関心が高まっており、2002年に日本抗加齢医学会が結成されたときには会員は20名程度だったそうですが、現在では3800名にもなっています。

 そこでまず、エイジング、すなわち老化とか加齢とは何かということですが、3つの原因があるとされています。第一に「さびる」、第二に「しぼむ」、そして最後が「すさむ」です。
 「さびる」というのは、鉄がさびて腐食するのと同じように、身体がさびていくことですが、これは化学的には酸化という現象で、身体を構成する細胞が酸素と結合して破壊され、病気の原因になっていくことです。
 人間は生存するためには酸素を必要としますが、その酸素が体内で活性酸素になり、さびさせる役割をします。活性酸素は呼吸によって取り込む酸素からだけではなく、大気汚染物質、紫外線、食品添加物などの影響でも創り出され、とりわけタバコは活性酸素発生に威力があります。
 それを防ぐためにはビタミンA、C、Eや、コエンザイムQ10などが有効とされています。

 「しぼむ」というのは、細胞を若く保つための内分泌ホルモンの分泌量が減り、身体の筋肉や水分が減ることです。老化は身体の水分が減ることだともいわれ、乳児では体重の70%が水分、成人男子では60%ですが、老人では50%になります。
 また、年とともに腎臓の機能が低下し、体内の老廃物を除去する能力も低下するので、水をたくさん飲むこともしぼまないためには重要です。

 最後の「すさむ」ですが、これは精神的なもので、生き甲斐とか意欲をなくすことです。病は気からという言葉もあるように、精神的に意欲がなくなると、ホルモンの分泌なども低下し、さらに老化を加速するという悪循環に陥りますので、前向きに人生を考えることが重要だということです。

どうすればいいかということですが、医食同源という言葉もあるように、食事の内容をアンチエイジングなものにすることが第一です。最初にご紹介したアンデスの食材も日本で販売されるようになっていますが、マカは肥満を防ぐ効果があるし、カムカムは重量あたりビタミンCの含有量がレモンの60倍あるし、ヤーコンはフラクトオリゴ酸やポリフェノールが豊富だそうですから、そのような食材も試されるといいと思います。

 慶応義塾大学の坪田一男教授監修によるアンチエイジングのチェックリスト(朝日新聞4月1日)などを参考にすると、睡眠時間を十分にとる/野菜や魚を食べる/水を良く飲む/酒や煙草を控える/身体を動かすなどが挙げられていますが、食べ過ぎないということも重要です。
 身体を維持するために最低限必要なエネルギー量である基礎代謝量は10代が最大で1600キロカロリー程度ですが、50代から60代は男性で1300キロカロリー、女性で1100キロカロリーになりますから、必要以上に食べないことも重要なのです。
 ひとつの数字の目安として「BMI値」があります。これは体重をキログラムで、身長をメートルで表し、体重の数字を身長で2回割った値です。僕は75キログラムで、身長が1・7メートルですから、約26になりますが、これはやや太り過ぎで、21から22が良いとされています。僕の場合は65キログラムが適正ということになります。簡単に計算できますから、早速、試されたらどうでしょうか。





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