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論文

 昨年あたりから「ブログ」という言葉を耳にする機会が増えています。
 インターネットを使った新しい情報発信の方法で、ウェブ上の記録(ログ)つまりウェブログweblogを略してブログと呼んでいます。
 世界全体では昨年末に620万のブログが存在し、今年末には2500万にはなると予想され、日本でも昨年末に200万、今年末には600万以上になるとみられています。

 いろいろな形に発展しているので、一言で定義するのは難しいのですが、簡単に言うとインターネット上に書く個人の日記のようなもので、簡易型のホームページといったらいいと思います。
 普通の日記のように個人の身辺雑記を書いている場合もありますが、ニュースなどに対して自分の意見を述べるものが多いようです。
 読んだ人がコメントを書き込んだり、同じテーマで記事を書いているブログ同士をリンクさせるトラックバックといわれる機能が用意されているので、ひとつの話題を軸にコミュニケーションの輪が広がるという役割があります。

 これまでもホームページ上に日記を載せることはありましたが、通常のホームページとブログの最大の違いは手軽にできるということです。
 インターネットは個人のメディアと言われますが、実際に通常のホームページを作るのは結構大変で、日記風の文章を掲載するだけでも、それなりに専門知識が必要でした。
 「誰でも簡単に」というわけにはいかないし、せっかく作っても最初だけで精力を使い果たしてしまい、更新するのが面倒で、なかなか内容が変わらないというのもよくあるパターンでした。

 ブログの場合にはライブドア、楽天、gooなどが無料か低料金でブログサービスを提供していますから、これを利用すれば、かなり手軽に書くことができます。
 そのため最近ではシニア層にもブログのユーザー(ブロガー)が増えていますし、パソコン教室などで「ブログ講座」を開講しているところもあります。
 書く内容は自由ですから、何でも書くことの出来るノートブックを与えられたと思えばいいのですが、元々はニュースなどに対して意見を述べる場、すなわち個人が発信するジャーナリズムの場として広まったものです。

 アメリカでは1998年頃に登場したのですが、利用者が急増したきっかけは9・11の同時多発テロで、速報性を生かして、安否情報などをやり取りする場として利用され、さらにこの事件やその後の戦争への意見をやり取りする場として注目を集めるようになりました。
 イラク戦争の時も、メディアに載らない情報がブログで発信されたことがあります。イラク人の29歳の青年(サラーム・パックス)が空爆下のバグダッドでの日常を綴ったブログは大きな反響を呼びましたし、欧米の最新の音楽や映画を楽しみ、ネット文化を謳歌し、ウィットに富んだ語り口でブッシュとフセインの双方を皮肉る青年の姿は、マスコミに描かれる「独裁者に抑圧されたイラク人」のイメージとは全く違うものでした。

 さらにブログで話題になったことを、後追いでマスメディアが取りあげてニュースになることもあり、アメリカではすでにメディアとして認知が高まって、先月にはブログの記者がホワイトハウスの定例会見に出席を認められたほどになっています
 しかし、誰でもメディアを持てるとなると逆に怖さもあり、実際に様々な問題も発生しています。
 ライブドアの堀江社長のブログも有名ですが、副社長もブログで発信をしており、今年2月のライブドアからリーマン・ブラザーズが借り受けた株式の売却についての記述が間違っており、株式相場に影響を及ぼしたと問題になったこともあります。
 このように影響が大きいので、日本企業のアメリカ法人が第三者のブログに見せかけたブログを立ち上げて自社製品を宣伝したところ見破られてしまい、逆効果になったこともあります。
 マイクロソフトでは、本社にアップルのコンピュータが配送されている写真を社員が自分のブログに紹介したところ、許容範囲を超えているということで解雇されている例もありますし、日本でもブログに自社批判をして新規プロジェクトの情報を漏らしてしまった社員が譴責されている例もあります。
 情報の扱いには個人の責任が問われることを忘れずに利用されると興味ある手段だと思います。





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