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論文

 自動車で高速道路の料金ゲートを通過するときに、紫色の「ETC」という標識のある料金ゲートが急速に増えてきたことに気付いておられると思います。
 「ETC」は「Electronic Toll Collection System」の頭文字を取ったもので、そのまま翻訳すれば「電子料金収集システム」ということになりますが、「ノンストップ料金収受システム」などと翻訳されています。
 すでに利用されている皆様も多いと思いますが、高速道路のゲートで一旦停止して料金を支払わずに、そのまま通過しても、自動的に預金口座から料金が引き落とされるシステムです。
 2001年3月から一部で導入され、普通の料金ゲートが混雑していても、専用のゲートをスイスイと通過できますと宣伝していましたが、自分の負担で高価な装置を取り付けなければいけないし、専用のゲートはどこにでも用意されているわけではないし、何よりも特別に割引があるわけではないということで、なかなか普及しませんでした。
 そのために、自動車への取り付け台数が100万台に到達するまでに2年3ヶ月かかっていましたが、100万台から200万台に到達するのに半年、それからさらに半年たった今年の5月30日に300万台を突破するというように急速に増加してきました。半年ごとに100万台の増加です。
 現在、高速道路の料金ゲートを通過する自動車の20%弱が利用していますが、半年後の来年3月までには30%を越え、2006年には50%を超えると予測されています。

 急速に普及しはじめた理由は自動車に搭載する機器の値段が1万円台にまで下がり、また、料金前払い制度を利用すると、1万円の前払いで500円、5万円の前払いで8000円を余分に利用でき、得するようになったことです。さらに今年の4月から10月までの実験として、午前0時から午前4時までの時間帯に高速道路を200km以上走行すると、最大で33%も安くなります。
 例えば、東京から青森まで深夜に走行すると、普通は22150円の通行料金ですが、ETCを利用すれば15950円で6200円も安くなりますから、大変に得だということになります。

 このETCは、より広範なITS(Intelligent Transportation Systems)の一部なのです。ITSは高度道路交通システムと言われますが、道路を走行する自動車の運転を情報通信手段で支援しようというものです。
 代表はカーナビで、今年3月末で国内の出荷台数の累計が1500万台を突破し、カーナビで道路混雑状況が受信し、空いている道路を選ぶことのできる「VICS」も900万台を突破し、世界でもっとも普及している国になりました。
 日本の道路は分かりにくいし、いつも混雑しているからカーナビが普及するという皮肉な意見もありますが、このカーナビをさらに進化させた「テレマティクス」といわれる技術が登場してきました。
 これは通信のテレコミュニケーションと、情報のインフォマティクスを合成した言葉で、自動車に携帯電話と接続したカーナビの装置を用意し、外部と自由に情報のやりとりができるようにするサービスです。

 具体的には例えば、森本さんが土地勘のない場所で自動車を運転しておられて、どこかでイタリア料理でも食べたいと思われたとします。これまでですと、ガイドブックで探したり、携帯電話でインターネットにアクセスして店を探し、その電話番号や住所をカーナビに入力して案内してもらうという方法でした。
 しかし、テレマティクスでは、情報を提供している会社のコンピュータにカーナビからアクセスし、必要な情報を画面に送ってもらい、選択すれば道案内をしてくれるということになります。
 最近では音声でやり取りすることのできるカーナビも普及し始めましたから、運転しながらでも操作が可能です。
 しかし費用が心配になりますが、現在、トヨタの「G‐BOOK」、ニッサンの「カーウィングス」、ホンダの「インターナビ」などのサービスで、入会金が2000円程度、毎月の基本料金が500円程度ですから、便利さからすれば、それほど高いということではないと思います。

 先ほども申し上げましたが、日本はカーナビがもっとも普及しているITSの先進国ですし、もっとも先進的なサービスを提供している国ということもあり、今年の10月18日から1週間、名古屋市で「ITS世界会議」が開催され、一般の方々にカーナビの新しい世界を紹介することになっていますので、興味のある皆様は出かけられたらと思います。





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