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論文

 104の電話案内を利用して、東京の新宿にある百貨店の番号を尋ねた場合、東京の人が答えていると考えますが実は東京には番号案内のセンターが無いのです。
 東京の人が104に電話すると3回に1回は沖縄に接続されて、そこで番号を教えてくれるのです。
 日本全体で104に毎日200万回ほどの問い合わせがありますが、そのうち東京の地域からの問い合わせが37万回ほどあり、11万1000回は沖縄の番号案内センターに接続されるようになっています。それ以外には東北地方にある6箇所の番号案内センターに約10万回、信越地方にある2箇所に約4万回というように、各地で対応しています。
 東京に行ったこともない、新宿はどのような場所かも知らない人が東京の案内をしていると思っていたのですが、これは間違いで、東京に実習に来るのだそうですが、それにしても地元ではない人が案内してくれているというわけです。
 104のサービスは距離に関係なく1回100円ですから、利用者にとっては距離に関係ない料金のため問題ありません。NTTのほうは、専用回線で東京と沖縄を接続していますから、これも距離に関係ない料金で問題ないのです。

 インターネットも距離に関係がない料金ですが、この距離に関係のない料金ということがIT革命の重要な特徴で、その特徴を利用して、様々な新しいビジネスが出現していますが、その代表がコールセンターです。
 これは地方にとっては重要なことで、沖縄でいえば、この3年ほどで、コールセンターが30社近く設立され、4000名近い人を雇っています。
 これまで情報ビジネスというのは大都会に集中するといわれてきましたが、距離に関係しない料金の通信手段が普及した結果、地方に情報ビジネスが移動し、沖縄では、これ以外にソフトウェア開発やコンテンツ制作の会社など40社近くが進出しています。

 これは先週紹介させていただいた「百年の転換戦略」のひとつで、明治以来の中央集権国家の影響で、大都会に集中していた先端産業が地方に立地する絶好の機会ですが、安泰でもありません。
 沖縄や北海道に情報ビジネスが移動する理由は、通信料金が均一になったことと人件費やオフィス賃料が安いからですが、この通信料金は世界均一ですから、さらに人件費やオフィス賃料が安い場所があれば、そこへ移動してしまうからです。
 実際、中国の大連に日本語のコールセンターを設立する動きがあります。大連には90年代に日本企業が2000社ほど進出しており、日本語を話せる人が多数いて、しかも人件費は日本の3分の1から5分の1程度ですから、そこへ設立すればいいという発想になるわけです。
 日本から電話をすると、専用回線で大連のコールセンターに接続されますが、利用者にとっての料金は国内と同一ですから問題はないのです。情報社会の競争は国内だけではなく世界との競争になっていく一例です。





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