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論文

 11月12日の月曜日にニューヨークで航空機事故がありましたので、それに関係する話題を紹介させていただきます。
 現在のところ、テロによるものではなく、事故だということですが、このような事故があると、飛行機は怖くてしばらく乗れないと思われる方が多いと思います。
 すでに9月11日のテロの影響で、アメリカのミッドウェイ航空、スイス航空、ベルギーのサベナ航空、カナダ3000航空が経営破綻しましたし、日本航空と日本エアシステムも経営統合を検討していますが、これもテロによって経営が苦しくなった影響といわれています。
 このエアバスA300型機は事故の多い飛行機で、
   92年9月 パキスタン国際航空機 ネパールで墜落(167人死亡)
   94年4月 中華航空機 名古屋空港で墜落(264人死亡)
   97年9月 ガルーダ航空機 メダンで墜落(224人死亡)
   98年2月 中華航空機 台湾中正空港で墜落(203人死亡)
   98年7月 アメリカン航空機 プエルトリコで事故(28人負傷)
という事故が発生しています。

 成田空港でも、空港まで来てから海外旅行をキャンセルした人もいるようで、飛行機旅行は危険という印象です。このように事故があると、そのような気分になるのは当然ですが「渡る世間は鬼ばかり」の世の中では、飛行機旅行は比較的安全だという話をさせていただきたいと思います。

 アメリカの公衆衛生総監が1989年に発表した報告書に、人口100万人あたり年間死亡するリスクが掲載されています。( )内は総数
   喫煙       7000人(187・0万人)
   飲酒        541人( 14・4万人)
   事故        275人(  7・3万人)
   疾病        266人(  7・1万人)
   道路交通事故    187人(  5・0万人)
   仕事        113人(  3・0万人)
   飲酒運転       95人(  2・5万人)
   事故遭遇       92人(  2・5万人)
   水泳         22人(  0・6万人)
   受動喫煙       19人(  0・5万人)
   大気汚染        6人(  1600人)
   サッカー        6人(  1600人)
   感電死         2人(   530人)
 そしてようやく
   航空機事故       2人(   460人)
です。これ以外にも、アメリカでは自宅で転倒して死亡する人が年間100万人あたり32人(総数8500人)ですから、危険はどこに転がっているか分からないということです。

 日本についても日本人百万人あたり年間死亡者数があります。( )は総数。
   ガン        2215人(28・9万人)
     煙草が原因      447人( 5・6万人)
     飲酒が原因       67人( 0・8万人)
   自殺         167人( 2・1万人)
   感染症        141人( 1・8万人)
     結核          23人( 0・3万人)
     C型ウィル       27人( 0・3万人)
   自動車事故      111人( 1・4万人)
   ダイオキシン      52人( 0・7万人)
   喘息          48人( 0・6万人)
   溺死          45人( 0・6万人)
   他殺         5・4人(  680人)
 そしてようやく
   航空機事故      0・24人(  30人)
です。

 これらの数字を見ると、煙草は悪いようです。国立がんセンターの発表によると
   十二指腸潰瘍で手術を受けた人が再発する可能性は
     煙草を止めた場合   7%
     煙草を半減     23%
     禁煙せず      75%
です。ところが酒になると難しく、飲まない人の再発を1とすると
     2週間に1合    0・79
     2日に1合     0・53
     1日に1合     0・90
     1日に2合     1・48
     1日に4合     1・54
ですから、適度にたしなめば影響は少ないという結果です。

 飛行機事故といえば海外旅行の場合が多いようですが、日本人が海外旅行で出会う死亡事故についても統計があります。
   自動車事故   30%
   溺死      15%
   殺人      10%
   航空機事故    7%
   自殺       5%
です。

 しかし、危険はどこにでもあると考えたほうがいいと思います。ジョン・F・ロスというアメリカ人の書いた『リスクセンス』という本に面白い数字があります。
 アメリカ人が1年間に
   ベッドから落ちて負傷  40万人
   シャワーで負傷     17万人
   着替えで負傷      14万人
   洗面所で負傷       6万人
   宝飾品で負傷       6万人
   剃刀で負傷        4万人
です。だから女性から宝石を買って欲しいといわれたら「貴女を怪我させたくないから」と言って断れば納得してくれる人は居るのではないでしょうか(笑)?





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