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論文

 このところ「生物が消える!」「言葉が消える!」など消える話を続けてきましたが、今日は第3弾「水が消える!」を紹介したいと思います。

 日本の現在の渇水も問題ですが、今日は世界でさらに大問題が発生しているという話です。
 今から40年前の1961年4月12日にソビエト連邦のユーリ・アレクセイヴィッチ・ガガーリンが人間として初めて地球を宇宙から眺めましたが、地球に戻ってからの最初の有名な言葉が「地球は青かった!」でした。
 地球は「水の惑星」ともいわれ、表面は陸地が30%、海洋が70%ですから、一見、水は豊富のようです。実際、地球にある水の量は14億立方kmと推定されています。想像もできない数字ですが、東京ドームをヒシャクにして、1秒に1回の早さで地球の水を汲むと約4500年かかるという量です。

 問題は、その水の97%は海水で、人間が利用できる真水は3%しかないことですが、さらに、その真水の9割は氷や地下水で、川や湖にある水は1割、すなわち全体の0・3%しかないことです。これは東京ドームのヒシャクでは13年で汲みつくす程度です。
 このわずかな真水に、大変なことが発生しています。中国の黄河の「断流」という言葉を聞かれたことがあると思いますが、大河の水が途中で途切れてしまうことです。
 黄河の幹線部分の長さは5464kmで、日本で最長の信濃川(367km)の15倍です。流域面積は75万平方kmで、日本の面積の2倍です。

 この世界四大文明のひとつの黄河文明の産みの親である黄河が史上初めて、1972年に15日間も海まで注がなくなってしまったのです。年毎に断流の日数が増加し、ついに1997年には226日、約7ヶ月も途絶えてしまいました。
 原因は上流で農業や工業に水を大量に利用し、流域の人口が増えるので生活用水にも急速に利用されているからです。

 ところが、もっと凄いことがあります。中央アジアのカザフスタンとウズベキスタンの間にアラル海という湖があります。
 これは理科年表を見ると世界で4番目に大きい湖です。面積は1960年には6万8000平方kmで琵琶湖の100倍、長い部分では対岸まで400km近くありますから、東京から名古屋の先までの距離です。
 ところが30年たった1990年に水面は半分の3万4000平方kmになり、2000年には3分の1の2万3000平方kmになってしまいました。水量も40年間で6分の1です。かつては漁業も盛んでしたが、漁村から水辺まで40〜50kmにもなってしまったので、漁業は消滅してしまいました。
 原因は湖の水を灌漑用水にして砂漠に引き、綿花の栽培を大規模に行っているのが原因だといわれています。

 これ以外にもアメリカの2320kmの長さのコロラド川もカリフォルニア湾にはほとんど辿りつかないなど、世界各地で水の異変が起きています。

 このような結果、現在でも世界の人口の5億人は水不足ですが、2025年には人口の半分の40億人が水不足になるといわれます。また、発展途上国の病気の80%は汚水を飲用にしていることが原因だとか、世界では幼児が水不足のために8秒に一人の割合で死亡しているといわれ、21世紀は世界各地で水戦争が勃発すると予言する人さえいるのです。

 対策のため、1996年に世界水会議(WWC:World Water Council)が結成され、97年以来、3年おきに世界水フォーラム(WWF:World Water Forum)を開催しています。
 第1回がモロッコのマラケシュ、第2回がオランダのハーグで開かれ、第3回が2003年に琵琶湖を中心にして京都と滋賀で開催されます。
 日本は「水と安全はただの国」といわれてきましたが、日本の水も危ないのです。





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