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論文

 地球には5000万種類から1億種類程度の生物が存在しているようです。しかし、実際に人間が確認できているのは150万種類から200万種類程度です。
 このように多種多様な生物がいることを生物多様性(バイオ・ダイバーシティ)といいますが、生物全体にとっては生き延びる確率が高くなるという意味があります。
 例えば、暑いところが得意だという生物ばかりだと、その地域が寒くなったときに衰退してしまいますが、寒いところでも平気だという種類がいれば、生き延びられるというわけです。
 色々な生物がいることは人間にとっても生き延びるために重要です。例えば、世界の紙の93%は木材から生産していますし、発展途上国のエネルギーの15%は薪や炭を使っていますから、いろいろな植物があるということは重要です。
 人間は大変な雑食で、7000種類くらいの生物を食べていますし、漢方薬は5000種類くらいの植物を利用しているといわれていますから、多様な生物がいるということは人間にとって大変な恩恵があるのです。

 ところが、この生物の種類が急速に減っているということが問題になっています。
 つい先月、大分県がツキノワグマ絶滅宣言を発表し、ついに九州からツキノワグマがいなくなってしまいました。それ以外にもニホンカワウソもいなくなったと思われていますし、最近ではメダカさえ見かけなくなったと騒がれています。
 日本では200種類いる哺乳類のうち 47種類(24%)
     700種類いる鳥類のうち  90種類(13%)
     300種類いる淡水魚のうち 76種類(25%)
が絶滅危惧種といわれ消滅しそうです。
 世界ではさらに大変で、
    4630種類いる哺乳類のうち  25%
    9675種類いる鳥類のうち   11%
     24万種類いる魚類のうち   34%
     24万種類いる植物のうち   14%
が絶滅寸前です。
 ある学者は現在地球では15分に1種類ずつ生物が消滅していると言っていますが、一年に換算すると3万5000種類になります。

 原因は火山の爆発や、森林の火災や、巨大な台風などによることもありますが、やはり主要な原因はやはり人間です。
 人間は一日にゴルフ場にして500コースくらいの森林を伐採していますが、そこにいた微生物や昆虫などは森林と一緒に消えてしまいます。農業のために開墾して小川をコンクリートで固めるとメダカが消えてしまいます。
 日本でも高山植物をこっそり盗掘する人が絶えませんが、それによって氷河時代から生き延びてきた植物が消えてしまいます。
 全国の湖や池にブラックバスやブルーギルを放流する人がいて、そのためにフナなどが食べられてしまっていますし、北海道ではペットとして飼っていたアライグマが手におえなくなったといって森に放す人がいて、アライグマが鳥を絶滅させそうですし、奄美大島固有のアマミノクロウサギもハブ対策に導入されたマングースによって危機に陥っています。

 石原知事が視察に行かれて話題になったガラパゴス諸島は、昨年タンカーが座礁して重油を撒き散らしたため、生物が危機に直面しています。オゾン層が破壊されて、カエルが消滅しているという説もあります。
 このように人間がほとんどの原因です。
 世界は1億種類の生物というレンガで築いたピラミッドのようなものですから、それが毎日100個ずつ抜けていっていると考えると、いつかは全体が崩壊することになり、なんとか抜け落ちないようにすることが、ピラミッドの頂点にいる人間にとっても重要なことです。「情けは人のためならず」です。





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