TOPページへ論文ページへ
論文

 連休で旅行の季節ですが、今日は団体旅行について考えてみたいと思います。
 団体旅行の歴史は古く、日本ではお伊勢参り、西洋でもエルサレム巡礼など、宗教的団体旅行はかなり以前からありました
 しかし、現在のような団体旅行は、鉄道が普及し始めた1841年にイギリスのトーマス・クックが始め、1851年のロンドンの万国博覧会を見物するための団体旅行で定着しました。

 しかし、団体旅行は問題も色々とあります。
 1)過密スケジュール。
   バスによる移動が多い団体旅行では、旅行日程の半分以上が移動時間になることが多く、居眠りしながら周りの風景を眺め、観光地点での滞在時間は30分もあれば良い方で、記念写真撮影ばかりに気を取られてしまいます。
 2)地域振興にならない。
   人口が増えない、工場が立地しない、経済が成長しないなどの問題に直面している地域にとって、観光は交流人口を増大させ、地域経済を活発にするという意味で期待されている活動ですが、交流人口の大半は観光バスとともに通過していき、期待の経済活動も大半は企画した旅行会社に吸収され、地域には利益が少ないのが現実です。
 3)観光の本来の役割である発見の喜びがない。
   観光の目的は諸国の自然や歴史や生活を見物することですが、それらを個人で選択し、個人で判断することに重要な意味があります。しかし、団体旅行では他者の選択と他者の判断に依存し、ある固定された価値を確認するだけの結果となります。極論すれば、観光写真を現地で撮影する作業になりかねません。

 日本の観光産業は世界の中でも取り残されており、GDPに占める観光(外国人旅行者)の割合は、日本は世界で46位でしかありません。
 参考のために、1位はインドネシア、2位はシンガポール、3位はチェコ共和国、4位はタイ、5位はオーストリアです。

 日本人も旅行上手になる必要があります。





designed by BIT RANCH / DEGITAL HOLLYWOOD
produced by Y's STAFF
Copyright(c) Tsukio Yoshio All Rights Reserved.