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論文

 先週、過酷なアウトドア・スポーツを2つしてきました。
 ひとつは「日本一過酷なクロスカントリーレース」です。場所は北海道丸瀬布町で、最初の10キロは平均斜度4%、最大斜度8%の走路を登るだけで、後半の10キロは同様の走路を降りるだけというレースです。さらに過酷なのはヒグマが冬眠から目覚める時期なので、コースに出没の恐れありということで、実際、前の日にはヒグマがコースを横断していたという情報がありました。
 もうひとつは「オホーツク海の流氷カヌー」です。場所は、知床半島の付根の斜里の海岸で、前夜の強風で流氷は沖合に遠ざかり、海岸付近に残った一部の流氷の間を漕ぐことになりました。転覆すれば零度以下の海ですから、それなりに緊張するカヌーです。

 今日は、この流氷について紹介したいと思います。
 まず流氷は世界の中で、どこに出現するかということですが、低緯度で見ることができるのはオホーツク海とカナダのニューファウンドランド島付近です。
 オホーツク海の流氷は、シベリアのアムール川の火口付近から1000キロも南下して1月下旬に知床半島付近に流れてくるものです。
 143万平方キロメートルの広さをもつと言われるオホーツク海の8割を埋め尽くし、その量はおよそ9000億立方メートルと推計されていますが、これだけの流氷を融かそうとすると、日本の原油輸入量の25年分が必要という量です。

 流氷は、まず「氷晶」という小さな流氷が海水の中に出来、その「氷晶」が集まって次第に氷となり、流氷になります。「氷晶」とは海水がマイナス1・8℃まで冷えると、海水中に雪の結晶に似た小さな針状や板状の氷の結晶が発生します。海水よりも軽く、互いに絡み合いながら海面に浮上し、氷の膜になって、海面を覆うようになります。
 氷の結晶から大きな氷のかたまりになるまでは、その形によって様々な名前があり、また、流氷の姿を表す言葉も90種類以上あります。

 流氷は地域にどのような影響があるのかというと、観光面では「流氷見学ツアー」や専用の船で流氷を眺めるツアーがあります。
 海面が閉ざされるので漁業はできませんが、オホーツク海が世界3大漁場といわれるのは、流氷のおかげだということがわかってきました。流氷は魚のえさになるプランクトンを運んでくると言われているので、それによって豊富な魚が繁殖するからです。
 しかし、マイナス面もあり、押し寄せた流氷に、昆布やホタテの稚貝が削りとられるという被害も発生しています。

 しかし、世界で知床半島の流氷は最も低緯度で、しかも網走という都市の目の前で見られるという特徴があり、ぜひ機会を見つけて見物に行かれることをお薦めします。





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