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論文

 今日は今年話題になる新しい自動車を紹介したいと思います。
 一般大衆が自動車を利用できるようになったのは、1908年にアメリカのフォード・モーター社が「モデルT」と言われる自動車を大量生産し、当時の一般の価格よりも大幅に安く提供した時からです。
 そこから110年が経過した現在、自動車は大転換期に直面しています。
 第一の転換は自動運転車の登場です。
 先週末、アメリカのゼネラル・モーターズ社がハンドルもブレーキベダルもないかわりに、21台のレーダーと16台のカメラを搭載した自動運転車を来年、実用にすると発表し、アメリカの運輸省に運行許可の申請をしたことがニュースになりました。
 自動車会社だけではなく、グーグルやアップルなどIT関連会社も参入した自動運転車がいよいよ実用になる時代が始まることになります。

 第二の転換はエネルギー源の転換です。
 長年、自動車はガソリンをエネルギー源としてきましたが、現在、電気自動車、水素自動車も発売されており、どれが本命になるかの競争の途上です。
 実は19世紀末から20世紀初頭にかけても、現在のようなエネルギー源の争いがありました。
 登場した順番では、1769年に蒸気機関を搭載して走る最初の蒸気自動車が発明され、1830年代からイギリスでは実用になっていました。
 次に1860年代から内燃機関の自動車が発明され、最初はアルコールを燃料としていましたが、80年代からガソリンが燃料の主流になりました。
 さらに1870年代に電池で走る電気自動車が登場し、三つ巴の競争が展開しました。
 1900年のニューヨク、シカゴ、ボストンには合計2370台の自動車が存在していましたが、蒸気自動車が50%、電気自動車が30%、ガソリン自動車が20%という比率でした。
 実際、1894年にフランスのパリとルーアンの127kmの区間で自動車レースが行われた時、17台が完走しましたが、規則違反で失格になったものの、1位で到着したのは蒸気自動車でした。

 現在、蒸気自動車は姿を消しましたが、ガソリン自動車と電気自動車が100年来の競争を改めて行なっているという状況です。
 しかし、ちょっと待て!ということで登場してきたのが空気自動車です。
 空気自動車はガスボンベのような容器に圧搾空気を詰めて、それを噴き出しながらタービンを回す自動車で、意外にも、ガソリン自動車と同じほどの歴史があります。
 パリでは1876年に圧搾空気で走る電車が登場し、それ以後、ナント、ヴィシィ、ラロシェルなどの都市で使われてきました。
 この技術が自動車に応用され、1898年にはロンドンで空気自動車が開発されています。
 しかし、当時の技術では十分な圧搾空気を貯蔵する技術がないために走行距離が短く、普及しませんでしたが、最近になり技術開発が再燃しています。
 2010年には本田技研工業がコンセプトカーの「ホンダエアー」を発表し、翌年には豊田自動織機が「クーリン」を開発し、テストコースで時速129kmを実現しています。
 これらは実験車ですが、ルクセンブルクの会社MDIが設計し、インドのタタ・モーターズをはじめ、いくつかの会社が実用車を製造しはじめ、アメリカのゼロ・ポリューション・モーターズは今年の第一四半期には「エアポッド2.0」の発売を開始すると告知し、予約受付を開始しています。
 重量900kgの1人乗りで100万円くらい、航続距離は200km、最高速度は70kmという都市内向けの自動車で、200kmで圧搾空気代は40円程度だそうです。

 もう一つ、今年あたりから話題になる自動車は飛行自動車です。
 空を飛ぶ自動車は1940年にヘンリー・フォード一世が「飛行機と自動車を組合せた乗物は実現する」と宣言し、自社で開発をはじめましたが、途中で亡くなったため実現しませんでした。
 しかし昨年4月には、スロバキアの会社とドイツの会社がモナコの見本市で試作機を発表し、2020年には発売するとしていますが、1台1億5000万円程度のため、まだまだ一般向けでは在りません。
 それ以外にもアメリカの会社が今年から1200万円で発売すると発表しているなど世界が動きはじめています。
 日本ではトヨタ自動車の若手の有志がトヨタグループの支援を受けて開発をしており、2020年の実用を目指しています。
 日本のように各地に滑走路を作る土地もないし、自動運転車でさえ法規制が整備されていない状態で、空飛ぶ自動車に需要があるかと思われる方も多いかも知れませんが、2020年に期待される行事があります。
 これまで五輪大会の開会式、とりわけ聖火の点灯式は各国が秘策を練ってきました。
 アトランタ大会(1996)でモハメッドアリ、冬季の長野大会(1998)では伊藤みどりなど有名人が最後に点灯するのは、よくありますが、技術を駆使した例として、バルセロナ大会(1992)ではアーチェリー選手が火のついた矢を聖火台めがけて発射して点灯、シドニー大会(2000)では水中から聖火台が登場、アルベールビル冬季大会(1992)ではワイヤーを聖火が伝って点灯など、奇抜な方法を披露してきました。
 そこで私の推薦は、東京オリンピック・パラリンピック大会で、トラックを走ってきた自動車が途中で空中に浮かんで聖火台に飛んで行って点灯し、飛行自動車を世界に披露するのはどうかというわけです。
 初夢には遅すぎますが、技術開発の目標にはなるかもしれません。





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