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論文

 今日は最近、世界で活躍する素晴らしい若者たちを紹介したいと思います。
 出典が明確ではありませんが、今から4000年ほど前の古代エジプトに「最近の若者は才知にまかせて古くからの質実剛健の流儀をないがしろにするのは嘆かわしい」という言葉が書かれた文書があったそうです。
 もちろん、そのような嘆かわしい若者の行動が現代にないわけではありませんが、反対に最近の大人も真っ青になるような活躍をする若者も次々と登場しています。
 そこで今日は世界を変えつつある活動をしている若者を紹介したいと思います。

 まずプロローグとして「マララ・ユスフザイ」さんから始めたいと思います。
 今年22歳ですが、5年前、17歳になった2014年に史上最年少でノーベル平和賞を受賞した女性です。
 1997年に、パキスタンの北部で父親が女子学校を経営している比較的恵まれた家庭に生まれました。
 この地域で武装勢力のターリバンは女性が教育を受ける権利を剥奪しようと、教育関係者を虐殺し始めますが、マララさんは11歳の時にイギリスのBBC放送の依頼で、BBCのブログに、その実態を批判する内容をペンネームで投稿します。    
 それ以後も本名で女性の権利などを取り戻す講演などをし、パキスタン政府から「勇気ある少女」として表彰されました。
 それに怒ったターリバンが2012年にマララさんの乗っていたスクールバスを襲撃し、彼女は頭と首に銃弾を受けます。
 イギリスの病院で治療を受け、奇跡的に回復し、2013年には「シモーヌ・ド・ボーヴォワール賞」、そして翌年には「ノーベル平和賞」を受賞し、2017年には、これも史上最年少で国連平和大使に任命され、人権活動に活躍しています。
 今年3月には東京で開催された国際女性会議にも出席しています。

 地球環境問題の解決に活躍している若者も多数登場して来ました。
 今年16歳になったスウェーデンの女性「グレタ・トゥーンベリ」さんは、昨年スウェーデン国内で発生した熱波と山林火災を憂慮し、昨年9月9日に行われる総選挙まで議会前で気候変動問題を多くの人々が真剣に考えてほしいと学校ストライキをすると宣言し、毎日、「気候変動のための学校ストライキ」というプラカードを持って座り込みをし、一気に有名になりました。
 さらに世界各国の学生に学校ストライキを呼びかけたところ、300近い都市に波及し、じわじわと影響が世界に及んでいます。
 このような活動をするきっかけは8歳の時に気候変動の問題に気付き、戦争よりも世界に大きな被害をもたらすのに、なぜテレビジョンが大々的にニュースで紹介しないかと思ったからだという早熟ぶりでした。
 昨年12月にはポーランドで開催されたCOP24に出席して講演をし、今年1月にはダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)の座談会にも出席しています。
 その参加者の大半は世界から二酸化炭素を大量に排出する飛行機で会場に到着したのですが、トゥーンベリさんはスウェーデンから鉄道で32時間かけてダボスに到着し話題になりました。
 参考までに、同じ距離を移動するのに、飛行機は鉄道の6倍の二酸化炭素を排出します。
 そして今年9月23日にアメリカで開催される国際連合の気候変動サミットに出席して演説する予定ですが、これも飛行機ではなく、太陽光パネルの設置された高速ヨットで2週間かけて大西洋を横断して出席する計画です。
 今年のノーベル平和賞の候補にも名前が挙がっており、もし受賞すれば、マララさんの記録を破って最年少の受賞者になる可能性もあります。

 地球規模の環境問題で最近、急速に話題になり、今年6月に大阪で開かれたG20大阪サミットでも議題になった海洋プラスチックゴミ問題に挑戦している若者もいます。
 1994年生まれで、現在25歳になったばかりのオランダの若者「ボイヤン・スラット」さんです。16歳の時にギリシャの海岸で水中に潜ったところ、プラスチックゴミが魚よりも多く浮遊していることを目の当たりにし、世界中の海からプラスチックゴミを回収しようと壮大な決心をします。
 世界の政治家が騒ぎ出すよりも10年近く前ですから、先見の明とともに大変に大胆な構想でした。
 手持ち資金は3万円程度しかありませんでしたが、目的達成のためにNPO法人オーシャン・クリーンアップを設立し、クラウドファウンディングを募集したところ44億円もの資金が集まり、早速、研究を開始し装置を開発しました。
 それは多数のプラスチック製のフロート(浮輪)のついた長さ600メートルのケーブルの両端を船で引っ張って、洋上のプラスチックゴミをかき集めるという装置で、昨年9月にサンフランシスコを出発し、太平洋の真ん中のプラスチックゴミが集まっている場所を目指しましたが、途中で荒波にあって壊れてしまい、修理する事件もありましたが、とにかく実験は実行されました。
 しかし、実際には期待のような成果はあげられませんでした。
 この構想に対して専門家は懐疑的で、実際に壊れてしまったように、太平洋の荒波には対抗できそうにない装置であるし、このような装置で集める洋上のプラスチックゴミは全体のほんのわずかな量でしかなく、問題解決にはならないなどの指摘があります。

 ドイツの哲学者ゲオルク・ジンメルに「青年の主張する内容は正しくない。しかし、青年が主張すること自体は正しい」という言葉があります。
 スラットさんの回収計画について専門家の意見は正しいのでしょうが、ようやく世界がマイクロプラスチック問題に国際社会が騒ぎ出し始めるより前に、専門でもない資金もない若者が敢然と挑戦するということは若さの特権だと思います。
 社会構造も自然環境も急激に変化していますが、その影響は大人にも子供にも当然影響します。
 しかし、これからより長く生活する若者にとっては切実な問題です。
 そのような意味で、人権問題や環境問題に若い世代が発言するのは大人よりも切実な気持ちがあるからだと思います。
 青年よ、大志を抱け!です。





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