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論文

 今年の11月に「江戸文化歴史検定」という資格試験が初めて実施されるという発表がありました。
 資格というと国家試験で、医師、弁護士、会計士、技術士、最近、話題の建築士など、比較的難しいといわれるものから、自動車整備士、施工管理士、情報処理技術者などがありますし、簿記検定、珠算検定、ビジネス英語検定、和裁検定など商工会議所が実施するものも知られています。
 さらに、財団法人や社団法人が行う英語検定、日本語ワープロ検定、秘書検定などもあります。
 国家資格の場合は、建築士の資格がないと建築の設計は出来ないとか、医師の資格がないと医療行為は出来ないというように、仕事をする場合に必須の要件になっていますし、商工会議所や財団法人、社団法人の認定する資格は就職に有利だという実利があるのですが、最近は取得しても実利は無いような資格が流行しています。

 そこで今日は、その実利にはならない面白い資格を紹介してみたいと思います。
 まず人気急上昇の資格に「漢検」と省略される「漢字検定」があります。これは日本漢字能力検定協会という財団法人が年3回の試験を実施している漢字についての試験ですが、1級から10級まで12段階の資格があります。
 2000年には受験者数が160万人でしたが、昨年の2005年は240万人が受験し、5年で1・5倍に増えています。
 今年1月に行われた大学入試センターの試験の受験者数が57万人ですから、その4倍も受験者が居り、人気のほどが分かると思います。
 8級程度の問題ですと、「画家になろうと決意する」「話し合って決める」という漢字に読み仮名をふる程度ですから、合格率も80%以上ですが、最難関の1級になると、「イスカの嘴の食い違い」のイスカとか、「足袋のコハゼ」のコハゼとか、「アッパレな手柄」のアッパレを漢字にするなどという程度になり、合格率も10%前後になり、挑戦のしがいがあります。
 ちなみに240万人のうち合格者は123万人で合格率は50%強です。

 最近の新しい流行が最初にご紹介した「江戸文化歴史検定」のような歴史や文化に関する検定で、最初に始めたのが「京都検定」です。
 これは京都商工会議所が2004年から始めた試験で、今年が3回目になります。
 内容は京都の歴史、史跡、神社、庭園、行事、料理など京都に関するあらゆる分野で、1級、2級、3級があります。
 ちなみに3級の過去の問題の一例は「太秦という地名は秦氏がある産物をうずたかく積んで天皇に献上したことにちなむ地名といわれるが、その産物は何か」で「絹/米/綿/塩」のどれかから選ぶという水準です。(絹)
 これが2級になりますと「平安京の朱雀大路は現在のどの通りか」で「室町通/大宮通/千本通/烏丸通」から選ぶという問題です。(千本通)
 これは京都に住んでいれば分かりそうですが、「元は遠藤盛遠という武士で、東寺の再興に尽力した僧侶は誰か」で「道昌/玄宥/文覚/勝覚」から選ぶとなると最早無理という程度になります。(文覚)

 江戸文化歴史検定協会が行う「江戸文化歴史検定」はまだ始まっていませんが、ホームページに問題例が掲載されています。
 例えば「明暦の大火の後、両国橋が竣工しましたが、両国という名前は武蔵国ともうひとつはどこか」という質問で「上総国/下総国/常陸国/相模国」からの4択です。これは東京に住んでいれば、分かる人も多いと思います。(下総国)
 しかし、想定されている「江戸と大阪の飛脚の速達の日数」とか「江戸で最も多かった幕府公認の商人」という問題となるとかなりの難問になります。

 ご当地検定といってもいいような検定は急増しており、札幌商工会議所の「札幌シティガイド検定」、男鹿市観光協会の「ナマハゲ伝道士認定」、金沢経済同友会の「金沢検定」、姫路商工会議所の「姫路観光文化検定」、長崎商工会議所の「長崎歴史文化観光検定」など、50近くあります。
 しかし、この程度では物足りないという方には、「時刻表検定」「猫との暮らし方検定」「ラーメン検定」などもありますし、究極には「全国統一オタク検定」というマニアックな検定もあります。
 例えば、漫画雑誌について「1946年に光文社から「少年」が発行されたが、47年に学童社から発行された雑誌の名前は」とか「48年に出版された「少年少女漫画と読物」の出版社は」という質問に、9つ程並べられてある単語から選ぶという水準になります。
 これらは苦労して合格しても、就職に役に立つようなことは無さそうですが、現在、DSなど頭のトレーニングが大流行ですから、このような検定に挑戦して、頭を鍛えて資格を貰うというのも、トレーニングとして良いのではないかと思います。





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