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論文

 立秋は過ぎましたが、まだまだ残暑は厳しく、熱中症で倒れたりする方も少なく有りません。
 6日の土曜日に仙台で楽天ゴールデンイーグルスとソフトバンクの野球試合が日中におこなわれましたが、仙台の最高気温が34℃になったときで、観客25人が熱中症になり、2人は救急車で病院に運ばれる事態になりました。
5日の金曜日は群馬県の館林市が37・6℃、伊勢崎市が36・8℃、前橋市が36・2℃と体温より高い最高気温となり、群馬県内だけでも16人が熱中症で病院に運ばれています。
 熱中症は暑い環境に長時間居たり、運動をしたりして体の中で熱が大量に発生し、その影響で生理的に失調状態になり、重症になると全身の臓器の機能不全になるということですが、簡単に言えば、文字通り「熱に中る」ということです。
 これを防ぐためには、長時間、炎天下に居ないということと、水分を十分に補給するということですが、それは何故かを考えてみたいと思います。

 理由は人間の体が水で出来ているということです。例えば成人の男性では体重の約60%が水ですし、女性では55%という比率です。女性が男性より少ないのは皮下脂肪が多いからですが、女性よりも皮下脂肪の多い肥満の男性では水分の割合は40%程度に下がります。
 年齢別に見ると、まず受精卵は90%以上が水分で、生まれたばかりの赤ん坊では80%、乳幼児の段階では70%で、成人になって60%になり、高齢になると50%程度になってしまいます。
 瑞々しいという言葉は若々しいという意味でも使われるように、簡単に言えば、老化するというのは体から水分がなくなっていくということです。
 この水は何処にあるかというと、70%が細胞の中にあり、20%が細胞の周囲、そして10%が血液の中にあります。
 しかし、細胞も部分によって水分の含有率は大きく違い、網膜は90%以上が水,脳は85%、血液や腎臓や肺臓は80%程度、筋肉や皮膚は70%程度ですが、骨は20%、歯は10%程度です。

 問題は、人間がこの水を体の中から失うと調子が悪くなるということです。人間は  特別に運動をしない状態で、一日に2・5リットルの水分を尿や便の形で体の外に排出しますが、それを飲み水や食べ物の形で補充しないといけません。
 普通の状態では1・1リットル程度を飲み水で、1・1リットル程度を食べ物で補い、残りを体の脂肪や炭水化物から作った水で補っています。ですから、最低でも一日にペットボトル2本分程度の水は飲まないといけないわけです。
 それを怠って、体の水分の1%を失うと喉が渇いてきます。体重60キログラムの人であれば、60%が水ですから36キログラムの水が体内に有り、その1%ですから0・36キログラム、すなわち360ミリリットル、ペットボトルの7割くらいの水を失うだけで喉が渇くということです。
 さらに体重の5%、すなわち1・8リットルの水を失うと脱水症状になり、10%失うと死んでしまいます。
 一日中、まったく水を飲まないと2・5%の水分が失われるので、4日も飲まないと死んでしまうことになります。

 それでは水さえ飲んでいれば大丈夫かというと、そういうわけでもありません。人間の体の96%は酸素(65%)、炭素(18%)、水素(10%)、窒素(3%)という四代元素でできており、残りの4%がミネラルといわれる様々な元素でできています。
 主要なミネラルはカルシウム、リン、カリウム、硫黄、ナトリウムなどです。これらは微量ですが、不足すると体の調子を狂わせます。
 例えば、カルシウムが不足すると高血圧や動脈硬化になり、マグネシウムが不足すると心筋梗塞や狭心症になります。
 ところが尿や汗などとともに、これらのミネラルも排出されるので、それを補う必要があるのです。もちろん塩をなめるという伝統的な方法も結構ですが、最近では必要なミネラルが配分されているスポーツドリンクなども有効です。
 最後に水太りという言葉があるので、水を飲み過ぎると太ると思っている方が多いようですが、水にはカロリーがないので、これは迷信です。大量の水を飲んだとしても、不要な水は自然に体外に排泄されるので、しばらくすると体重は元に戻ります。
 脱水症にならないためにも水を飲むことは必要ですが、水を飲むと老化を防ぎますし、皮膚の維持にも役に立つし、さらに血液の濃度を下げて脳血栓などの病気になることを防ぐのにも役に立ちます。ぜひ残暑を乗り切るためにも、多いに水を飲んで下さい。





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