TOPページへ論文ページへ
論文

 インターネットの中に「世界人口時計」という名前のサイトがあります。これはアメリカの統計局が推計している世界の人口予測をもとに、いま現在の世界の人口がどれだけかを示しているものですが、それを見るとゾッとします。
 カウンターの下のほうの桁の数字が次々と変わっていくのですが、数えてみると、大体1秒に3人の割合で増えていっています。これは1年に換算すると9460万人、約1億人が毎年増えていく計算です。
 現在世界の人口は64億7000万人程度ですから、このまま増え続けていけば2050年には107億人ということになります。時々刻々と増えていく数字を見ていると世界はこれからどうなっていくのか痛切に心配する気持になります。

 もっと恐ろしい時計があります。やはりインターネットの中にある「日本の借金時計」というサイトです。これは日本という国が抱えている借金が現在どれだけかを、カウンターで示している時計です。
 何万円という単位まで示されていますが、下のほうの2桁はほとんど見えないほどのスピードで変わっていきます。そこで目を凝らして必死で眺めると、ほぼ1秒で100万円ずつ増えているのです。夜中に国債を発行しているわけではないのに、どうして増えるのかということですが、借金の金利が増えていっているからです。
 仮に1秒に100万円増えていくとすると、1日に864億円で、割算して国民1人あたりにしてみると690円、1年では25万円以上になるのです。念を押しておきますが、利息だけです。

 9月に財務省が今年の6月末の国の借金が729兆円になり、記録を更新したと発表しましたが、この借金の金利がいま説明した数字に相当するわけです。
 この729兆円という数字もほとんど実感のない金額ですが、実はこれ以外にも、我々が普段気にしない巨額の借金があります。まず地方自治体が発行している地方債などの借金が200兆円以上ありますし、特殊法人といわれる役人の天下り機関に財政投融資という名前で郵便貯金などのお金が貸されていますが、ほとんど返却される可能性はないといわれています。これが500兆円以上あります。以上を合計するとざっと1500兆円という金額になるのです。
 一般の人間の想像を超える数字ですが、何とか実感していただくために説明をすると、1500兆円は国民1人になるように割算すると、1200万円ですから、4人家族では4800万円です。
 別の数字で説明しますと、日本人が1年間一生懸命働いて稼ぎ出した国民総生産(GDP)が500兆円ですから、家計にしてみると、年収500万円の家庭が1500万円の借金を抱えているということです。
 この借金は税金で返すということになりますが、現在、国税が年間40兆円しかありませんので、焼け石に水どころか、税収不足なので、最近では毎年40兆円近い新たな国債を発行していますが、大半は金利を返済するための借金です。

 そこでこれなら切実に感じていただけるというファイナル・アンサーを紹介したいと思います。借金の元金はしばらく置くとしても、金利を払うためにさらに借金するというサラ金地獄だけは何とかしたいということで、新規の国債の発行だけは止めたいとするどうするかを計算された東京大学の経済学者がおられます。
 その答えは消費税を35%にしなさいということです。100円のジュースを買ったら135円払ってくださいということで、ここまですれば、ひとまず出血だけは止められるということです。

 こうなった責任は政治家や役人にあると片付けることもできますが、政治家に頼んで自分の町に道路を作ってくれれば立派な政治家だとか、町長が役所に土産物を持って陳情に行き、町に公民館を作ってくれたら立派な町長だと勘違いしてきた国民に本当の責任があるのです。
 道路や公民館はだれかの寄付で作られたのではなくて、自分の払った税金なのです。つまりタコが自分の足を食べていたということに気付いて、政治や行政を監視しなければいけないということです。

 最近、すばらしい方に出会ったのでご紹介させていただきたいと思います。先月、長野県の山奥の温泉に行ったときに、そこの温泉街にある土産物屋の奥様で生田千鶴子さんと方にお目にかかったのですが、その方が、ご主人と食事中に話をしていたときに、日本政府に500兆円の借金があるということを聞き、それまで国の政治などにまったく関心がなかったのに、突然、目覚めて、本を読み、インターネットで調べ、役所に電話して、本を書かれました。
 『まあ、大変。私たちの日本、なんとかしなくちゃ!』という題名で、文芸社から出版されています。
 このように国民一人一人が政治や行政に関心を持って、自分の問題として考えていかないと解決できないと思います。





designed by BIT RANCH / DEGITAL HOLLYWOOD
produced by Y's STAFF
Copyright(c) Tsukio Yoshio All Rights Reserved.