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論文

 今日は3月25日ですが、来年の3月25日に「愛・地球博」という愛称の国際博覧会が愛知県で開催されますので、それに関係する話をさせていただきたいと思います。
 国際博覧会というと1970年に大阪で開催された万国博覧会が有名ですが、この万国博覧会の起源は1851年にロンドンで開催されたものが最初とされていますので、すでに150年以上前から始まっているものです。
 そのような古い行事をいまさら日本が開催する意義があるかという疑問もありますが、実は日本が大国になるための重要な条件だという話をさせていただきたいと思います。

 大国である条件というと、アメリカのカーター大統領の特別補佐官を勤めたズビグニュー・ブレジンスキーが4つの条件を提唱しています。第一は「軍事大国」であること、第二は「経済大国」であること、第三は「技術大国」であること、そして第四に「文化大国」であることです。
 現在のアメリカは、この条件をすべて満たす本物の大国ですが、今日はやや面白い大国の条件を提案してみたいと思います。
 これは私のオリジナルの提案ではなく、ある評論家の意見ですが、19世紀までの大国であったイギリス、そして20世紀の大国になったアメリカに共通する4つの特徴があるということです。

 第一は、その時代のもっとも長い橋を架ける技術をもっていることです。実際、イギリスは1980年にエジンバラの北側に全長2・5キロメートルの鉄道橋である「フォース・ブリッジ」を建設し、1894年にはテームズ河に有名な「タワーブリッジ」を完成させています。
 それを追いかけたアメリカは、1931年にニューヨークの「ジョージ・ワシントン・ブリッジ」、1937年に有名なサンフランシスコの「ゴールデンゲート・ブリッジ」、1957年に「マキノ・ブリッジ」、そして1964年にニューヨークの「ベラザノ・ナロウズ・ブリッジ」を完成させ、この時点で世界の吊橋の上位4つを独占する国になっています。
 第二は、エビの消費で世界一になることです。正確な統計がありませんが、19世紀は世界のエビがイギリスに集中し、20世紀になるとアメリカに集中したといわれています。金持の国はエビを食べ、貧乏な国はイカを食べるという研究もありますから、それぞれの時代の大国はエビをもっとも食べていた国ということになります。

 第三は、ワインの消費で世界一になることです。ポートワインはポルトガルを代表するワインですが、これは味のよくない赤ワインにブランデーを追加したものです。
 17世紀にイギリスとフランスの関係が悪化してフランスのワインが輸入されなくなったイギリスがポートワインを飲み始め、世界で最大のポートワイン消費国になりました。
 20世紀になると、アメリカのカリフォルニアでワインの生産が始まり、アメリカのワインの消費が増大し、現在、生産ではイタリア、フランス、スペインに次いで世界4位、消費ではフランス、イタリアに次いで世界3位に躍進しています。

 最後の大国の条件が万国博覧会の開催です。1851年にロンドンで開催された万国博覧会は、19世紀にはヨーロッパで9回、アメリカで3回開催されていますが、20世紀になると29回のうち8回もアメリカで開催され、もっとも開催回数が多い国になっています。
 やや牽強付会の面もなくはありませんが、長い橋、エビの消費、ワインの消費、万国博覧会の開催で世界一になることが大国の条件ということです。

 そこで日本が大国であるかどうかということですが、長い橋については、現在、世界最長の吊橋は明石大橋ですし、本四架橋を3本も架けて、これは文句なく世界一です。
 エビの消費も世界の3分の1のエビは日本で消費され、これも文句なく1位です。
 そして、万国博覧会ですが、1970年に大阪で開催して以来、来年の「愛・地球博」まで16回が開催されることになりますが、そのうち何と日本で5回も開催されていますから、圧倒的に世界一です。
 残るワインですが、残念ながら、この分野だけ世界10位で、1位のフランスと比較すると10分の1以下ですし、一人あたりの消費量では20分の1以下です。いま一歩、日本が大国になれない秘密はここにあるのではないかと思います。
 そこで、日本を大国にしたいと思われる皆様には、ワインをどんどん飲んでいただき、エビフリャーで有名な名古屋の郊外で開催される「愛・地球博」に出かけていただけば、日本は世界の大国になれるのではないかということです。





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