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論文

 今日は何の話でしょうか?「ファクターX(エックス)」についてご紹介したいと思います。
 ここ数年、白熱電球の形をした蛍光電球が販売されているのを御存知かと思います。これは普通の電球のソケットに差し込むことができるのですが、同じ明るさを得るのに4分の1程度で済みますので、エネルギー効率がいいというわけで、このような製品の評価を「ファクター4」といいます。
 実際、販売されている電球で比較すると、ワットあたりの輝度は、白熱電球の15ルーメンに対して、蛍光電球は62ルーメンですから、ファクター4・1を実現しています。

 これは1991年に、ドイツのヴッパータール研究所の学者が「ファクター10」という名前で提案した考え方ですが、2050年までに、先進国の一人あたりの環境負荷を10分の1にしようという内容です。
 もちろん、一人一人が自動車に乗る距離を10分の1にしたり、テレビジョンを見る時間を10分の1にすれば、ファクター10は実現できますが、それを強要するわけにはいかないし、不便なために実行する人も少ないと思います。
 しかし、自動車のエネルギー効率を10倍にするとか、テレビジョン受信機のエネルギー効率を10倍にすれば、人々は無理矢理節約しなくても、従来の生活様式のままで環境への影響を減らすことができるということになります。
 従来のソケットに差し込むことのできる蛍光灯は、その代表で、使う人は、そのような蛍光灯を買ってくるだけで、明るさは変わらないし、電気代は節約できるし、環境問題解決へ貢献もしているということになります。現状では蛍光電球が高いのが問題ですが、白熱電球の平均寿命が1000時間であるのに比べて、蛍光電球は6000時間の寿命がありますから、結果としては損をしないということになります。

 最近では、このような思想が普及してきたため、家庭電化製品の製造会社なども、様々な製品について「ファクターX」を公表しています。
 例えば、松下電器産業のパンフレットによれば、
  電気冷蔵庫  2002/1991=5・1
  エアコン   2002/1990=3・1
  電気洗濯機  2001/1991=2・3
 となっています。
 電気冷蔵庫でいえば、同じだけの能力で電気の消費は5分の1以下ということになり、1年間の電気代が23000円も節約できる計算になりますから、新しく買い換えても、数年で元が取れるということになるし、環境への貢献を考えれば、それ以上の効果があると思います。
 新製品を買おうと考えておられる方は、各社のパンフレットやホームページで、このファクターの数値を調べて購入されると、経済的利益とともに、環境への貢献もできることになります。

 これ以外にも、最近、目立つのは交通信号です。従来のように一個の電球ではなく小さな豆電球が100以上光っている交通信号が増えてきました。あれはLEDを使っていますので、正面から太陽光線が当たっても見やすいし、消費電力はファクター8に相当します。
 これらの技術は既存の家庭電化製品や交通信号を改良したものですが、本格的なITを駆使した場合、さらにファクターの数値が高くなる技術も登場してきます。
 現在、インターネットでは、国内だけでも200近い電子新聞や、世界では1万以上の電子新聞が存在しています。電子新聞を普通の紙の新聞と比較するとファクター20程度になりますし、新聞紙は先進国の場合、おおむね紙の消費量の15%近くになっていますから、森林の保護の観点からも環境へ貢献する技術です。
 また、オフィスのトイレなどに設置されるようになりましたが、普段は電灯が消えていて、人が来たときだけ点灯する技術もあります。これは人体から発生する赤外線を感知するセンサーが天井に取り付けられていて、それで作動するのですが、時々しか人が来ないトイレなどでは威力を発揮します。
 もちろん会議室などに取り付けても、人が居るときだけ点灯して、全員が退室すれば自動で消灯してくれますし、夜間に泥棒が侵入するのを警戒する役目にもなります。
 この装置は赤外線の変化を検知しますので、じっとしていると人が居ないと判断して消灯してしまうという問題もありますが、会議で全員が寝てしまうと、自動的に消灯してくれますから、ここでも無駄を省いてくれることになります(笑)。





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