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論文

 先週末は奄美大島で開かれたシーカヤックマラソンに参加してきました。
 奄美大島本島と、その南側にある加計呂麻島(カケロマジマ)の間に大島海峡という距離が20キロメートル、幅が平均2キロメートルほどの海峡があるのですが、毎年、そこでカヌーレースがあります。漕ぐ距離は36km程度ですが、海ではなかなか直線には進まないので、実際は40km程度漕いでいると思います。
 レースは一人乗りと二人乗りがあるのですが、一人乗りに参加しました。一人乗りは135艇が出場し、僕は4時間43分53秒で85位でしたが、優勝は2時間59分51秒で、僕の1・6倍の速さですから、まったく敵わない速さです。
 しかも今回は奄美大島気象観測史上最高の気温で38度以上あり、海上にカヌーで出た途端に、心不全になりそうで、しばらくは息絶え絶えでした。猛暑の日中にゴルフを連続2ラウンドくらいしたといえばご理解いただけるかと思います。
 途中3箇所の上陸地点があり、そこで通過を確認するのですが、そこでは水ではなく、氷水を頭から掛けてもらって何とか我慢できるという状態です。

 そのような苦行が面白いかと疑問に思われる方も多いかと思いますが、東京はもちろん北海道からもカヌーを自動車に積んで参加してきた人もいました。それは奄美大島の魅力だと思います。
 この魅力に牽き付けられた人は多数いますが、有名な人は作家の島尾敏雄さん(1917−86)です。この大島海峡は第二次世界大戦中に人間魚雷「震洋」の発進基地であり、その隊長として赴任していたのが島尾敏雄さんです。
 隊長として滞在中に加計呂麻島の名家の女性と結婚されたのですが、それが島尾ミホさんで、現在も名瀬市でご健在です。
 また最近注目されてきた日本画家の田中一村(タナカイッソン)さん(1908−77)も奄美を愛された方で、不思議な魅力のある島です。

 私も若いときに仕事で奄美大島には何度も行きましたが、沖縄とは微妙に異なる自然と文化があり、今回、久しぶりに行って、その魅力を再認識しました。
 ガラパゴス諸島を見学に行った石原都知事が、小笠原諸島もガラパゴスやコスタリカを見習ってエコツーリズムの拠点にすると発表しましたが、奄美大島も独自の自然と文化を維持する政策を考える必要があると思います。
 屋久島で縄文杉を見物するための登山には資格のあるガイドを同伴する必要がありますが、そのような地域の雇用も確保しながら自然を維持する方法が検討され始めており、新しい動きに期待しています。





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